はじめに
「最近肌のハリがなくなってきた…」
「高いスキンケアを使ってもあまり変化を感じない」
そんな悩みを抱えている方に、“運動”という意外な解決策があることをご存じですか?
最新の研究では、定期的な運動が肌にポジティブな影響を与えることが証明されつつあります。
この記事では、論文をもとに「運動が肌に与える効果」「おすすめの運動習慣」について解説します!
なぜ運動が肌に良いのか?その理由を解説
1. 血流と栄養供給の改善
運動を行うと、皮膚の血流が一時的に約8倍に増加します。
これにより、肌の細胞へ酸素や栄養がしっかり届きターンオーバー(肌の生まれ変わり)が促進されます。
さらに、血管の拡張機能が高まることで普段から肌の水分保持力も改善されることが報告されています。
2. 炎症の抑制とエイジング遅延
2023年のRCT研究では、筋トレ(レジスタンストレーニング)が加齢に伴う肌の弾力低下や真皮構造の悪化を改善することが明らかになりました。
特に注目すべきは、筋トレによって炎症性サイトカイン(CCL28やCXCL4など)の血中濃度が低下し、それにより肌の構造維持に重要なタンパク質「ビグリカン(BGN)」の発現が促進された点です。
3. ECM(細胞外マトリックス)の改善
加齢によって劣化する「細胞外マトリックス(ECM)」の再構築は、肌のハリや厚みを回復させる鍵です。
筋トレ後の血漿を培養皮膚細胞に加えた実験では、コラーゲン(COL3A1、COL6A1など)やヒアルロン酸合成酵素(HAS2)、プロテオグリカン(DCN、BGNなど)の発現が増加したことが報告されています。
どんな運動が肌に効果的?
有酸素運動(ウォーキングやバイク)
- 肌の血流量を増やし、酸素と栄養を運ぶ
- IL-15というホルモンを増やし、ミトコンドリアの活性化による細胞の若返り効果が期待される
レジスタンストレーニング(筋トレ)
- 炎症因子を低下させ、ECM関連遺伝子を活性化
- 特に肌の厚みの改善において有意な効果が認められた
- 肌のコラーゲン生成に関わる「ビグリカン」の発現を促進
フェイシャルエクササイズ(顔トレ)
- 表情筋のトレーニングによって、リフトアップや見た目の若返り効果が期待される
運動習慣のポイント
適度な頻度と環境が大切
- 週2〜3回の中強度の運動が肌にも体にも理想的
- 塩素が含まれるプール水は肌バリアを弱める可能性があるため、泳ぐ場合は保湿ケアを忘れずに
運動後のケアも忘れずに
- 汗をかいた後は速やかに洗顔・保湿を行う
- 紫外線の強い時間帯の屋外運動では、日焼け止めの使用が必須
まとめ
スキンケアアイテムで外からケアするのも大切ですが、運動という内側からのアプローチが、肌の土台を強化する新しい鍵になり得ます。
今回の2つの研究から導き出されるポイントは以下の通りです:
- 有酸素運動と筋トレはそれぞれ異なるメカニズムで肌を改善する
- 筋トレは特に真皮の厚みと構造を回復させる効果がある
- 運動がもたらす変化は、血流・ホルモン分泌・炎症抑制など複数のルートを通じて肌に影響する
つまり、毎日のスキンケアに「週2~3回の運動」をプラスすることで科学的に裏付けられたスキンケアの質をグッと引き上げられます。
引用文献
- Nishikori, S. et al. (2023). Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices. Scientific Reports, 13:10214. https://doi.org/10.1038/s41598-023-37207-9
- Oizumi, R. et al. (2024). The Potential of Exercise on Lifestyle and Skin Function: Narrative Review. JMIR Dermatology, 7:e51962. https://doi.org/10.2196/51962
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